技術情報
ソリッドスケール
ソリッドスケールを用いた一軸圧縮強さquの測定
概 要
ソリッドスケール(以下、SSとも表記)は、水平に敷き均した充填材などにφ16mmのアダプタを取り付けた先端を貫入させ、貫入抵抗値からqu=100kN/m2程度(一般的なブルドーザなどのトラフィカビリティが確保できる強度)迄の一軸圧縮強さの測定器です。従来の一軸圧縮試験機による測定に比べて、簡易かつ適切なタイミングで測定することができ、テストピースが自立しない弱材齢も測定可能です。
お客様のメリット
- コンパクトに持ち運ぶことができ、テストピース採取も不要です。
- 少量の試料で充填材などの強度を確認することができ、リアルタイムの品質管理に有効です。
- これまで測定できなかった弱材齢の一軸圧縮強さを推定することができます。
ソリッドスケールと一軸圧縮強さの関係式
各種配合における貫入抵抗値と一軸圧縮強さの関係は高い相関が得られ、さらに、粉体水比Pを考慮し、貫入抵抗値(S)から以下の関係式によって一軸圧縮強さが推定できます。
qu=【3.94P+1.37】×S
ここに、qu:一軸圧縮強さ(kN/m2)、P:粉体水比(C+F)/W(kg/kg)、S:貫入抵抗値(mm)
例えば、裏込め注入材(エアー15%、粉体水比0.361)配合をソリッドスケールで測定した場合は以下のように一軸圧縮強さが推定されます。
(Φ16貫入抵抗値) | → | (関係式を用いた一軸圧縮強さ) | ||
4 mm | → | F=(3.94×0.361+1.37)× 4 | = | 11kN/m2 |
16mm | → | F=(3.94×0.361+1.37)×16 | = | 45kN/m2 |
32mm | → | F=(3.94×0.361+1.37)×36 | = | 101kN/m2 |
また、低強度供試体の場合は、φ50mmのアダプタを用い測定値を面積比(φ16換算値(mm)=φ50測定値(mm)×0.102(=201/1,963))により換算することで一軸圧縮強さの推定が可能となります。
【参考】ソリッドスケールによる一軸圧縮強さの関係式は、以下の測定結果から導き出しました。
測定方法
- 各種充填材について、右写真に示すように、SSを鉛直方向に貫入し、貫入抵抗値を測定。
- 一軸圧縮試験は、φ50mm×h100mmの供試体を使用。(測定下限値qu=10kN/m2)。
- 経時による貫入抵抗値(「x」)と一軸圧縮強さ(「y」)をグラフにプロットし、直線近似による傾きをSS強度係数とした。
測定配合
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- 滑材兼用裏込め材クレーショックハードH
A液 1000L B液 粉体水比P
(C+F)/W品名 タックメントH TAC-βⅡ TAC-Re 水 TAC-3G 数量 75 kg 200 kg 5.0 kg 895 L 50 L 0.307
- シールド工事用裏込め材各種配合
A液 950L 粉体水比P
(C+F)/W品名 タックメント TAC-α TAC-2c TAC-Re 水 空気量 TAC-3G 【非エアー系】 230 kg 30 kg ― 2.3 kg 864 L ― 50 L 0.301 【エアー15%】 230 kg 30 kg 0.3 kg 2.3 kg 720 L 143 L 50 L 0.361 【エアー24%】 230 kg 30 kg 0.5 kg 2.3 kg 635 L 228 L 50 L 0.409 【エアー30%】 230 kg 30 kg 0.6 kg 2.3 kg 578 L 285 L 50 L 0.450 【エアー35%】 230 kg 30 kg 0.7 kg 2.3 kg 530 L 333 L 50 L 0.491
測定結果(P:粉体水比)
粉体水比(P)を考慮したSS強度係数の補正
SS強度係数とそれぞれの粉体水比の関係(黒線)が本試験結果から得られたが、安全側にすべての実測値を包括できるように、切片を下げた関係式で補正(赤線)。
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