技術情報
クレーショック工法
TAC技術情報 C-014001
硬化しない高粘性の可塑状充填材注入工法
概 要
クレーショック工法は、A液のクレーサンドTAC-β(βⅡ)溶液とB液の特殊水ガラスTAC-3Gを比例混合することで生成される300~500dPa・sの硬化しない高粘性の可塑状充填材注入工法です。
本工法は、シールド急曲線施工の余掘り部崩壊防止のみならず、切羽の安定、沈下防止、噴発・逸泥防止、シールド機姿勢制御、発進・到達時の止水等への有効な工法として多用されています。
お客様のメリット
1) シールド急曲線施工の場合
- シールド機内から施工するクレーショック工法は、急曲線の余掘り発生と同時にクレーショックを充填するので、余掘り部の崩壊防止と切削土のチャンバー内への押戻しによって、確実な余掘り空間が形成でき、急曲線の線形確保が図れます。
- クレーショックの充密性・安定性・摩擦抵抗力低減効果によって、急曲線を通過する際のシールド機周辺地山の緩みを防止でき、周辺環境への影響抑制(沈下防止)が図れます。
- 地上からの削孔・注入作業(車両片側通行・夜間作業等)が不要で、周辺環境への影響がなく、施工性が向上します。また、埋設物への影響や地盤隆起の問題が無く、安全性も向上します。
2) 切羽の安定、沈下防止、噴発・逸泥防止、シールド機姿勢制御、発進・到達時の止水等の場合
- 泥土圧シールドの切羽の土圧低下や地下水の噴発時にチャンバー内へクレーショックを充填することによって、噴発を防止し切羽の土圧保持が可能です。また、シールド再発進も容易です。
- 土質の急変等による掘削土の過剰取込み時には、シールド機注入孔からクレーショックを加圧・充填することによって、シールド機通過(裏込め注入)までの周辺の地盤変位を抑止します。
- 軟弱粘性土等での掘進ではシールド機がノーズダウンする場合があります。クレーショックをシールド機下部から注入することによって、シールド機のピッチングを上げることが可能です。
特 徴
クレーショック(TAC-β)の性状・性能および長期安定性試験の結果は次のとおりです。
- 比重、粘性ともに大きく、岩塊沈降試験でも1kgの分銅を保持する能力を有し、沈下防止・地山崩壊防止効果が有ります。
- 水希釈抵抗、遮水性能が有ります。【ゲルタイム:11秒、水希釈抵抗:12時間後も希釈せず】
- 12ケ月間の性状変化(硬化)はなく、長期安定性に優れています。
【ベーンせん断値の経時変化(下図):直後は1.36kPaであるが、それ以降の12ケ月間のベーンせん断値の経時変化はほとんどなく、7.23~7.86kPaである(自社基準値:10kPa以下)。】
主な施工実績 (2024年3月現在)
施工着手 | 発注者 | 工事名 | 施工場所 | シールド外径 | クレーショック工法採用目的 | 備考 |
2024 | 東海旅客鉄道㈱ | 中央新幹線第一首都圏トンネル新設(梶ヶ谷工区) | 神奈川県 | 14,040 | 2号大断面・大深度急曲線(R=82.9m,CL≒70m) | ※ |
2020 | 東京都 | 駒形幹線工事 | 東京都 | 4,440 | 急曲線補助工(R=20m×4箇所、R=40m×2箇所) | ※ |
2017 | 高知市 | 送水幹線二重化(5工区)管渠築造工事 | 高知県 | 2,030 | 発進時(仮壁切削)のチャンバー内土圧保持、ノーズダウン抑制、急曲線補助工法 | |
2016 | 日本下水道事業団 | 市川市市川南7号幹線建設工事 | 千葉県 | 4,660 | 急曲線補助工法(R=14m×2箇所、40m) | ※ |
2015 | 大阪市 | 国道479号清水共同溝設置工事-4 | 大阪府 | 5,130 | 小土被りでの沈下抑制 | |
2015 | 横浜市 | 神奈川処理区神戸雨水幹線下水道整備工事(その2) | 神奈川県 | 2,150 | 軟弱地盤での沈下抑制 | |
2012 | 阪神高速道路㈱ | 大和川線シールドトンネル工事 | 大阪府 | 12,470 | 南海電車通過時の沈下抑制および長期停止後の再発進時のフリクションカット | |
2012 | 中国四国農政局 | 吉野川下流域農地防災事業北部幹線(大寺工区)建設工事 | 徳島県 | 2,880 | 河川横断での沈下抑制 | |
2010 | 日本下水道事業団 | 東京都勝島ポンプ所流入管渠工事 | 東京都 | 10,100 | 急曲線補助工法(R=30m×4箇所) | ※ |
2010 | 横浜市 | 南部処理区大岡川右岸雨水幹線下水道整備工事 | 神奈川県 | 3,900 | 急曲線補助工法(R=10m、30m) | |
2010 | 大阪府 | 都市計画道路 大和川線シールド工事 | 大阪府 | 12,540 | 地下鉄御堂筋線通過時の沈下抑制および加泥注入 | |
2010 | 高松市 | 中部バイパス第3幹線工事 | 香川県 | 2,880 | 電気鉄道通過時の沈下抑制および急曲線補助工法(R=20m×1箇所) | ※ |
※:クレーショックミニパッカー工法
技術登録
1) NETIS登録番号:KT-160022-A 2) NNTD登録番号:1162